タイパ研究所 | タイパ的まちづくりと文化

タイパ研究所 | タイパ的まちづくりと文化

タイパ・コスパ・効率化・生産性それは人々の暮らしだけでなくビジネスの現場でも侵食している気がする。東京の街並みは、効率化され無駄のない洗礼されたデザインと引き換えに何かを失っているのかもしれない。先日韓国旅行へ行った際に韓国の街並みは日本の街並みより明らかに「文化・カルチャー」を感じた。

今回は韓国の街並みの感想とこちらの記事の感想も含めながら「タイパ的まちづくりと文化」についてつらつら書いていきます。

現代社会の効率化が若者のカルチャー形成を阻害する

現代社会におけるタイパ(タイムパフォーマンス)の追求は、私たちの生活を効率化する一方で、新しいカルチャー・文化を創造するための「無駄な時間」や「余白」を奪っています。渋谷の街のその一つだと感じています。

(SUIKEN)街を綺麗にして、たむろしてる若者を排除したらカルチャーは絶対に生まれない。

街は企業や行政が作れても、街の色は人でしか作れません。綺麗な街を作るために、元からいた人たちを追い払ってしまうと、一見綺麗な町は出来上がりますが、蓋を開けると色のない街になってしまいます。

余白と空間がもたらす創造性の可能性

無駄な時間や空間、いわゆる「余白」は、創造性や新しいカルチャーの形成において極めて重要です。これらの余白が存在することで、人々は自由な発想や独創的なアイデアを生み出す余地を持つことができます。以下に、余白がカルチャーに与える影響についてまとめていきます。

1,創造的な思考の促進

余白は、深い思考や創造的な発想を育む場となります。例えば、空いた時間や何も予定がない瞬間に、人々は無意識に新しいアイデアやクリエイティブな発想を生み出すことができます。こうした時間は、効率的に物事を進めるための生産性の追求とは異なり、自由な発想を促進します。

2,多様な交流の場(溜まり場)

無駄な空間や余白は、人々が自然に集まり、交流する場として機能します。公園のベンチ、広場、カフェなど、こうした場所では偶然の出会いや新しい人々との交流が生まれます。これにより、多様な視点や意見が交わされ、新しいカルチャーが形成される土壌が生まれます。

韓国の街並みはこの余白の空間が多いなと感じました。以下の写真はソウル図書館の目の前にある広場で開催されていた屋外図書館です。開放された広場にはいくつものソファーと本が設置されており老若男女問わず地域の人の憩いの場となっていた。

日本でこれを企画した場合には、いろいろなできない理由を並べて開催できないのだろうなと感じた。

3,文化の育成と共有

空間に余白があることで、アートや文化が育ちやすくなります。自由に使える公共のアートスペースや、ストリートパフォーマンスが許容されるエリアなど、創造的な活動が行われる場所は、地域全体の文化的豊かさを高めます。韓国のホンデやパリのシャンゼリゼ通りなどがその好例です。

4,ストレスの軽減と心の健康

無駄な時間や空間は、現代の忙しい生活において重要なリフレッシュの機会を提供します。仕事や日常のストレスから解放されるための余白があることで、人々は心の健康を保ちやすくなります。これにより、長期的に見ても、より豊かな生活を送ることが可能になります。

5,創造的なコミュニティの形成

余白のある空間は、クリエイティブなコミュニティの形成を助けます。アーティストやミュージシャン、作家などが集まる場所では、互いに刺激し合い、新しい作品やプロジェクトが生まれることが多いです。こうしたコミュニティは、地域の文化的なアイデンティティを強化します。日本でも中目黒や清澄白河などのエリアはアートギャラリーやカフェが集まるエリアとして知られ、特に若いアーティストやデザイナーが集まり、独自の文化が育まれています。

韓国の街並みの魅力

引用:https://japanese.seoul.go.kr/%E3%82%BD%E3%82%A6%E3%83%AB%E9%87%8E%E5%A4%96%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8/

韓国の街には、文化とアートが自然に溢れていました。

ソウル公園には誰でも自由に読める本が置かれた屋外図書館があり、街角には独創的なアート作品が展示されています。

ソウル市の公式ホームページ。ソウル市の主要政策及び歴史・文化・観光・都市体験・福祉医療・交通などソウル市の各種情報およびソウル市に関する映像・写真・地図など、ソ…
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また、建物のデザインも非常に多様で、独特な形状や色彩が街に彩りを加えていました。

こうした環境が、若者たちにとってインスピレーションの源となり、新しいカルチャーを生む土壌となっていると感じました。

最後に

最後にインタビューの中でお二人が答えていた理想の渋谷の街をAIで作ってみました。

(XBS)俺らが若い頃にたむろしてた、階段の踊り場みたいな場所があればいいなとは思いますね。個人的なことで言えば、ちゃんとしたバスケットコートとかがもっとあったほうがいい。

(SUIKEN)もしもこの渋谷でなにかを芽吹かせたいなら、自由に音を出せて、スケボーもダンスもできる場所を作ることが大切じゃない? 

めっちゃいい街ですよねw

SUIKENさんやDABOさんが記事の中で指摘するように、カルチャーの根源は、自由に集まり、自然発生的な交流が行える場所にあります。

本当にこんな渋谷がこんな街に変われば新たなカルチャーが生まれると確信しました。