「タイパ社会の生き方」の論文を書いてからはや一年。タイパ(タイムパフォーマンス)という言葉は、ここ数年で急速に広がり、2024年には「流行語」を超えて、生活や社会のあらゆる領域に定着しました。「なるべく短い時間で成果を上げる」タイパ志向は、Z世代やミレニアル世代を中心に浸透し、商品開発やライフスタイル、さらには都市設計にまで影響を与えています。2024年はタイパに対する考え方が進化し、「選択的なタイパ」という新たなフェーズに入った年だと言えるでしょう。
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タイパの背景と社会への定着
2024年、タイパ(タイムパフォーマンス)という概念は、もはや流行語ではなく日常生活の一部として定着しました。「効率よく時間を使う」という価値観が、さまざまな商品やサービス、そして人々のライフスタイルに浸透しています。セイコー時間白書2024の調査によると、約6割の人がタイパを意識して行動しており、特に若者を中心にその影響は広がっています。時間効率を意識することで、日常のさまざまな選択肢が変わりつつあるのです。
タイパが生むメリットと生活の効率化
タイパを意識した行動は、生活の効率化を大きく進めています。ここでは、2024年に注目されたタイパ関連事例をいくつかご紹介します。
事例1)大阪王将の冷凍新商品シリーズ
2024年は餃子の王将の冷凍食品シリーズから新商品5品、リニューアル品15品発売された。蓋入らずの餃子や、トレー付きの鍋など、タイパや時短がキーワード。

事例2)味の素の冷凍宅配弁当「あえて、」
タイパの事例でよく取り上げられる「冷凍宅配食品・弁当」。今年も各社から新たな冷凍宅配弁当がリリースされた。味の素から新たに発表された「あえて、」は、まぜご飯とおかずを組み合わせた一食完結型の冷凍宅配弁当サービスです。電子レンジで温めるだけで、手軽に栄養バランスの良い食事が楽しめます。

事例3)LAWSON 「Uchi Café ご褒美スティックケーキ」
ローソンの「Uchi Café ご褒美スティックケーキ」は、忙しい日常でも手軽に楽しめる贅沢なスイーツです。スティック状の形状で、片手でも食べやすい設計が特徴です。高品質な素材と凝ったフレーバーで、プチ贅沢を演出します。価格も手ごろで、日常のちょっとしたご褒美として人気を集めています。
事例4)観光業界の「タイパプラン」
観光業界の「タイパプラン」は、限られた時間で最大限に旅行を楽しめるよう設計された旅行スタイルです。例えば、人気観光スポットを効率よく巡るルートや、短時間で体験可能なアクティビティを組み合わせたプランが特徴です。Z世代を意識し、コスパとタイパの両方を重視した内容で、事前に選び抜かれたホテルや飲食店が含まれることが多いです。

タイパがもたらすデメリット
しかし、タイパの追求が新たな課題を生んでいることも事実です。「何でも効率化する」風潮が広がる中で、満足感や創造性が犠牲になるケースも増えています。特に、タイパ疲れと呼ばれる現象が顕著で、すべてを効率化しようとするあまり、深い思考や継続的な努力が疎かになる傾向が指摘されています。
また、タイパを過剰に意識することで、無駄や余白といった創造的な時間が失われるリスクもあります。例えば、文化やカルチャーは往々にして、非効率的で予測不能な空間や時間から生まれるものです。都市設計において、無駄を排除した「綺麗な街づくり」がカルチャー形成を阻害している例は少なくありません。
↓「タイパとまちづくり」の考察はこちらでだらだら書いてます↓

「選択的なタイパ」への進化

2024年のタイパ動向における最大のトレンドは、「選択的なタイパ」という考え方です。つまり、すべてを効率化するのではなく、自分にとって重要なものに時間をかけ、それ以外を効率化するという選択が求められています。これにより、タイパを追求しながらも、満足感や達成感を高めることが可能となります。
例えば、普段の料理は時短レシピを活用する一方で、休日には時間をかけて料理を楽しむ。あるいは、日常的な情報収集にはタイパを重視しつつ、趣味や人間関係にはゆったりとした時間を確保する。このように、多様な時間の使い方が認められる社会こそが、真の豊かさを実現するでしょう。
新たな「〇〇パ」の登場

2024年には、「ウェルパ」(ウェルネスパフォーマンス)や「バリュパ」(バリューパフォーマンス)「マチパ」(マッチングパフォーマンス)といった新しい価値観も注目を集めました。「ウェルパ」は健康的で充実した時間の使い方を意識し、「バリュパ」はお金やリソースの効率的な活用を目指す概念です。これらの新しい「〇〇パ」の登場は、タイパという枠組みがさらに進化し、多様化していることを示しています。
↓「マチパ」については iU大学の松村教授が詳しくまとめていました↓

タイパ疲れ と タイパの未来
タイパは、単なる効率化の手段を超えて、私たちの価値観や社会の在り方を問う存在となっています。2024年では、なんでもタイパに結びつけるサービスが充満したことから「タイパ疲れ」を感じるZ世代が増えてきました。2024年のタイパは、定着と進化を遂げ、「選ぶタイパ」という新たな方向性を提示しました。無駄や余白を残すことの重要性を見直しながら、効率化と豊かさを両立させるための知恵が求められています。
「何でもタイパ」から「選んでタイパ」へ──。この変化は、現代社会における時間の使い方を再定義する試みであり、私たち一人ひとりがより豊かな人生を送るためのヒントとなるでしょう。

